【ワールドピース&ピース評価・感想】圧倒的ボリュームで描かれる再生の物語・戦闘システムも最高峰

フリーゲーム
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ワールドピース&ピースとは

ワールドピース&ピースは2015年に発表された長編RPG。魔女と人間が対立する世界を舞台に、本作の表現に従えば「シチューのように複数の異なる世界観、人生観が混ざり合い、またそれらが調和しているものを腹の中に入れることで新たに見えてくる」ものを体現したストーリーが展開されます。

プレイ時間の目安は60時間。謎解き要素もあり、90時間以上を費やす人も珍しくはありません。物語の没入度が高く、得難い体験を得られる長編フリーゲームであることは間違いありません。テキスト量・シナリオの重厚さは傑作「Seraphic Blue(セラフィックブルー)」に相当するでしょう。

近年のフリーゲームの中で、もっともお勧めできる長編作品の1つです。

>> ワールドピース&ピース

物語

物語の舞台は魔女と人間が対立する中世ファンタジー風世界。

 

主人公の魔女・トレスは、パートナーの喋る箒「ホウキ」と生活していますが、飛べなくなったことに劣等感を持つホウキはしばしばトレスと対立。ホウキは、不条理のゴミ箱という場所に存在する「氷の魔女」から仲間になるように呼びかけられます。

 

ある日、魔女と人間の間で戦争が起きることを知ったトレスは、料理屋を営む人間の親友・リーズに会うため王都・エンフェルマに旅立ちます。しかし時を同じくして、魔女社会の独裁者・ブルハリスタはエンフェルマ襲撃を企て、物語は陰惨さを増していきます。

ゲームシステム / バトルシステム

ゲームシステムのもっとも特徴的な点は、バトルシステム。

バトルはトレス、ホウキ、カラスの3人パーティと最大3人の敵のコマンド制バトルが中心。バトルには「プログレッションバトル」「シミュレーションバトル」「アクションバトル」の3種がありますが、後者2つは物語が後半に差し掛かるとイベントとして発生するもの。

中心はプログレッションバトル。プログレッションバトルは、行動ごとに決まる確率次第で最大5回の連続攻撃が可能となるもので、連続行動(プログレッション)の回数によってステータスはどんどんプラス補正がされていきます。

つまりプログレッションは「発動できる限りは発動した方が良い」ものですが、常に発動できるとは限らず、また闇雲に発動すると発動率も全体的に下がっていきます。この発動率をコントロールできる要素が「イレギュラー」

イレギュラーは、敵を倒すともらえる「I.C.Sポイント」を消費することで使用できる項目。イレギュラーを使用することでプログレッションの発動確率をアップすることができます。

プログレッションが5回になると敵から受けるダメージが半減したり、もらえるI.C.Sポイントが2倍になるなど戦闘が非常に有利になるので狙っていきたいところ。時にはHP回復よりも、イレギュラーの利用によってプログレッションを狙うといった駆け引きが重要になり、かなり頭を使います。

なかなか歯ごたえがあり、戦闘だけでもかなり楽しめます!

キャラクター

ワールドピース&ピースのシナリオは、はっきり言って圧巻です。数十章に及ぶ物語で、トレスと、彼女と関わる周辺人物20名以上の半生が描かれます。

テキスト量の多さは文字を読むのが苦手な人には厳しいかもしれませんが、演出が時に独白であったり、古典文学の引用であったり、実験レポートの体裁だったり・・・と色々趣向が凝らされているので視覚的な面でも意外と飽きないです。

1つのイベントシーンで数十分〜1時間に及ぶことも少なくなく、登場人物たちの意外なルーツや人物同士の繋がりが見えてきます。

皆、心に痛みを抱え、特に魔女サイドから人間サイドへの痛烈な批判はグサグサと心に刺さります。シリアス一辺倒でかなり濃厚ですが、刺さる人にとってはコンシューマーゲーム以上に一生の宝になるでしょう。

【ワールドピース&ピース】感想レビュー

ストーリー全体について

優れた長編小説を読み終えた後のように、世界のものの見え方が変わってしまう一本です。

作品への没入度が高く、なおかつストーリーが章ごとに区切られているので1日1章程度ずつ進めても、ゆうに1ヶ月は作品の中に浸り続けることができます。ちなみにストーリーが気になりつつも難易度が高すぎて進めないという場合は、難易度を途中で下げることもできる親切設計です。地味に嬉しいポイント。

トレスとその周辺人物の物語がルーツまで含めて章ごとに掘り下げられることは前述の通り。

ワールドピース&ピースでは途中で操作キャラクターが変更されるなど「トレスの視点だけではない」プレイが挟み込まれます。一般的なRPGでは勇者の視点は勇者のまま固定されますが、本作はまさに「複数の異なる世界観、人生観が混ざり合い、またそれらが調和しているものを腹の中に入れる」ことを視点からも体現しています。

ストーリーが進めば進むほど「復讐者たち」の視点にプレイヤー側が引き込まれてもいきます。中盤〜終盤にかけては「誰がラスボスなのか」が(良い意味で)見えず、善と悪が表裏一体かつ簡単にひっくり返りやすいものとして描かれている点は鋭い批評性に富んでいます。

ゲームシステムについて

断言しますがプログレッションバトルは、本作が生み出した1つのバトルシステムの傑作です。

通常のRPGでは強い技を覚えたら、わざわざ弱い技を使う必要はありません。敵を一発で倒すことができる技があるならそれを使うに越したことはなく、メラゾーマを覚えた後にメラを使う人はいないものです。

しかしプログレッションバトルでは「わざと弱い初期の技」を使うことに意味が出てきます。プログレッションバトルでは最大5連続で攻撃をすることに大きな意味があります。ワールドピース&ピースでは「強い技」だけ覚えていてもプログレッションが続かず、相手が強くなってくるとかなり苦戦します。5連続の技を組めるように弱い技も含む連鎖を組み慣れていくと、後半でもそうそう詰まることはありません。

強い技と弱い技。どちらが上ということも下ということもなく、一つの連鎖や繋がりの中に双方が存在することでプログレッション(=前進)する。こうしたプログレッションバトルのシステムに、本作の「ピース」観が詰まっていると言えるでしょう。

【ワールドピース&ピース】名言

キキ

「美点と欠点を併せ持った人達がお互いに協力して、お互いの空白を埋め合わせようと努力した時――― バラバラのピースは、やがて… 美しく透き通った青空と、どこまでも続く緑の草原を描き出すんです。」

ハト

「大抵の人は日常の雑事に揉まれて、夢を見る事をしなくなる。それが成熟した態度だと言う奴もいる。どこかしらに後悔とか苦さを感じているんだ… だから夢というものは、時にせせら笑われるのさ。せせら笑っていないと、自分が押し潰されてしまうことが、彼らは本当はよく理解できているからな…」

カラス

「分かり辛い小さな損害こそ、実は大きな損害となるのです。多くの者はそこに目を向けられず、大きなことに目を奪われがちですがね。」

 

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